賛否不明が7割 臓器移植法改正で国会議員アンケート
2009年 06月 05日
2009年6月5日6時54分
臓器移植法の四つの改正案をめぐり、朝日新聞は衆参両院の全議員を対象にアンケートをした。回答を寄せた3割超の議員のうちでは、脳死を「一律に人の死」として提供者の増加を目指すA案が最も多い支持を集めた。だが、全議員の7割近くが回答せず、回答者の中でも「わからない・検討中」が2割超を占めたため、全体では4人に3人の賛否が不明だ。採決になればこうした議員らの動向が結果を左右しそうだ。主要各党は党議拘束をかけない見通し。
全議員720人に5月に書面で質問した。衆院170人、参院60人の計230人(32%)が回答した。衆院本会議の採決に向け、複数の案に投票できる方式が検討されており、アンケートでは「最も支持する案」と「賛成する可能性のある案」を尋ねた。
「最も支持」と「賛成する可能性」を合わせて、A案を選んだ議員は44%。現行法では、本人が提供に同意する意思をあらかじめ記した書面が必要だが、A案は、本人が拒んでいなければ家族の同意で提供できるようにする。
D案は現在は提供できない15歳未満の子から親の同意で提供できるようにする。27%の支持を集めた。脳死の条件を厳しくするC案は13%、提供できる年齢を12歳以上に下げるB案は5%。どれも支持しない人は4%だった。
臓器移植法は97年に施行された。施行後3年の見直し規定があるが、議論は深まらず、今年4月にようやく審議入り。今回答えなかった議員らは「政治になじみの薄い生死の問題なので悩む」などと説明。「支持者の意見が割れていて選挙前に態度を表明しにくい」と話す議員もいた。
脳死からの臓器提供者は毎年10人前後にとどまり、日本移植学会などは移植が必要な患者が毎年数千人死亡しているとしている。15歳未満は臓器提供できず、幼児は事実上、国内で移植を受けられない。半面、脳死になったとみられる小児が数カ月以上、心臓死に至らない例もあるため、脳死を死とすることに反対も根強い。